養生

岩手の餅文化で満たされる私のハレの日

前回の続きです。

達谷窟毘沙門堂で 最強の御札 牛玉寳印 をいただきました。

折しも時間は昼下がり。空腹感に見舞われます。

これから実家に戻って何か作って食べるなんて、ここまで来たら野暮なこと。

せっかくだから、美味しいものを食べようということになりました。

岩手県南の美味しいものと言って、まず思いつくのは

 もち  餅  mochi

豊穣の穀倉地帯、北上盆地で収穫された米で作られたであろう餅そのものの美味しさは、言うまでもありません。それに加えて、この地域の特長は、多彩な種類の餅が存在。

この餅文化圏(の端っこ)で育った私にとって多彩な餅の存在は、日常生活の中で当たり前のものでした。

しかし、実家から遠方の婚家周辺では、そのような文化圏や、多彩な種類の餅なんて、聞いたこと、見たことが無いというリアクションがほとんど。若い頃、そういう世間の状況を知った時は、ちょっとしたカルチャーショックを受けました。

今日は平日。でも、私ははるばる遠くから母の用事のためではあるけれど、わざわざ休みを取って、今、ここに来ている。さっき、達谷窟毘沙門堂もお詣りして来たし。今日は私にとっての特別なハレの日。自分のハレの日に、思いっきりおいしいもちを食べよう!

美味しい餅を求めて立ち寄ったのは、達谷窟毘沙門堂から厳美渓のルート上にある

道の駅厳美渓

道の駅内のレストラン ペッタンくん は、普通の食事の他に、地域のもち料理があります。

 

食券を買う時、一緒に行った弟から何食べんだ? と聞かれ、迷わず

もち本膳!(いちばん豪華に見えた) 

と返答。

弟は一瞬、何?!というリアクションをしていましたが、私がせっかくの自分のハレの日を楽しみたいという熱気を感じ取り、今年は何回も遠くから来てもらってるからと、快く奢ってくれました。

…そう。今年は春に父が逝去。逝去前、葬儀、四十九日、初盆で、何度も帰省。

おまけに、今回母の大腿骨骨頭の手術の立ち合いで帰省。

婚家からの帰省は嬉しいけれど、度々すぎる帰省は疲れます。

そんな中で食べる餅。

もち米は気を補い、胃腸を養う作用があります。

ハレの日の食の楽しみ、疲れた体の回復のためにも、もち料理をセレクトしたのはベストな選択。

食券を買って、席について出来上がりを待ちます。

席の隣にあったショーケース内に、もち本膳の食品サンプルとメモがありました。

お椀は秀衡塗なんだー。それだけでも、すごくリッチな気分…。

で…奥の方に栄養価の書いたメモが…。

は???エネルギー1361kcal? 糖尿病食の1日あたりのカロリー1200kcalを上回ってる?!

このカロリーに驚きました。

しかし、武士に二言はありません。

せっかくのハレの日の食事。今日は思いっきり、躊躇することなく、喜びと感謝の中、美味しく食べることだけが大切なのです。

人生初の、秀衡塗の御膳でいただく餅。

朱塗りのお箸、箸置きも気分を高めてくれます。

もち本膳は、味覚以外の感覚も存分に楽しませてくれます。

秀衡塗の漆器の蓋をオープン!本場の美味しい餅たちが現れました!

特に好きなあんこ餅、ごま餅はもちろん、お雑煮、納豆餅、??よく分からなかったけど、少しピリ辛な餅。

餅の軟らかさの中に絶妙に歯ごたえが存在。そして、餅の美味しさと具材の美味しさが完璧にコラボしています。

たくあん、大根おろしも、絶妙な組み合わせ。

大根は薬膳では消食類に属し、お腹の張りや消化を助けてくれます。

餅文化圏の中心でいただく、美味しい餅。ありがたく、残さずいただきました…。

8月の終わり、立秋はとっくに過ぎて晩夏なはずなのに、外はまだまだ暑い。

これで、この先のハードな日々も乗り切ろう…。

また、日常のケの日に戻りますが、道の先に存在するだろうハレの日を楽しみに、また慎ましく毎日を送ろうと思いました。